2019年
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『 春 』
休日のひとりたたずむ公園で 一歩踏み出す勇気をもらう
あの山の頂き目指し進む道 焦らず急がず自分のペースで
鳥の音がそよ風に乗り駆け抜ける 木漏れ日の中しばし佇む
『 夏 』
静寂に心委ねて目を閉じる あの夜の甘い痛み甦る
広大な真夏の海のような人 惹かれるままに心委ねて
寄せる波貴方のように穏やかで だけど激しく呑まれてみたい
逢いたいと願うままでは終わらない 夜空眺めて酌み交わすまで
運命や偶然なんて綺麗事 探し続けた約束の恋
荒波を超え諦めずやっと君に出逢えた自分褒めてあげたい
出逢うのは運命ではなく約束で 君の眩しさ夏の太陽
受話器越し星眺めつつ聴く声は2000km越え傍らにある
海の彼方初秋の君と残暑の我 スマホの中ではすぐ傍なのに
受話器越し君の寝息を聞きながら傍らで眠る日を夢にみる
* * *
愛しくてただ愛しくて雨の午後 貴方の名前に心を焦がす
蝉が鳴く雷が鳴る仕事終わり?夕飯食べた?言葉が尽きぬ
朝焼けに見えない力感じをり同じ時代に生まれた奇跡よ
受話器越しの声に包まれ目を閉じる 消費MP2000の呪文
オレンジ色の花に似た君は道標 苦しいときも楽しいときも
自分軸で生きる恋する コーヒーはアイスブラック一息で飲む
2000km遠いか近いかわからずにこの空でだけ繋がっている
逢いたくて声聴きたくて切なくて 強く思うほど貴方は遠い
『 秋 』
この恋の閉塞感に囚われて独り眺める中秋の月
この場所で過ごした時間懐かしく思える幸せ美しい朝
午前8時最後の朝食頂いて 社会に戻る覚悟を決める!
傷口が見た目煩いと子に言われ 改めて知る傷の大きさ
夕刻の生温い風時を止める それでも君に出逢えてよかった
今はただ何も気にせず好きなだけ泣ける時間をどうか下さい
綺麗事で終わりにするなら一息に壊してしまえと心が叫ぶ
憎んだり恨んだりする恋ならばもっと楽に生きれただろう
この痛み消えずともよし甘過ぎた自分を決して忘れぬために
爽やかな秋の気配に包まれて 恋を葬る決意する朝
* * *
昨日から自問自答を繰り返す さよならを聞く準備はできたか?
最後まで一度も本気じゃなかった君 今頃気づいた自分を赦す
さよならの言葉どこにも見当たらず けれど確かに別れのメール
諦めと痛み希望に変えるまで いつか必ずいつかこの手で
唯一のあの日の自分を救う手段 あなたの思い出すべてを捨てる
微量ずつ毒飲み続け刻み込む あの日の自分救うためだけに
あんな風に笑顔で過ごす日は二度と来ぬかもしれぬそれでも生きる
心焦がす激しい思い抱く日が君にもくるのかいつか誰かに
失って初めてわかるかけがえのない宝物夏の思い出
一輪の風に吹かれた向日葵はあなたに逢うため生まれてきたの
* * *
信じてる どんなに長い歳月をかけても必ず辿り着けると
勘違いするほど君は優しくて 夢から覚めてもまだ優しくて
昨夜まで忘れていたはずの痛み 5分目を閉じやり過ごす朝
9年振りの再会なのに一瞬で共に日勤後のようなノリ
言わずとも通じる確信できるのは苦難を共に過ごした証
夕暮の風心地よく包み込む もう一度だけ逢えますように
切れそうな糸を再び結ぶため 待つことをやめ一歩踏み出す
消えそうな灯を手に目を閉じる 同じ思いでいると信じる
余所見してもがきし我をも包み込む 共に紡ぎし二人の縁
完全に消えた訳ではない痛み それでも進む自分を信じる
* * *
支えたい支えられたい一筋の光の先にあなたが見えた
大いなる見えない力に導かれ この身委ねるこの運命に
大いなる見えない力に導かれ ここに確かに運命はある
何十年傷つけ労り支え合い 苦も楽も共に重ねた歴史
何十年も重ねてきた二人の歴史を信じる君を我は信じる
揺るぎない大きな腕に包まれて 共に重ねた歴史を信じる
次逢える時までどうかご無事でと ただそれだけを祈っている
吹っ切れた筈だった恋の亡骸を手放せなくてもう少しだけ
秋風に落ち葉舞う午後の眩しさは忘れたはずの痛みにも似て
あの頃のときめきと痛み甦り 踏み留まれて清々しい朝
* * *
澄みわたる青空に吹く秋風に頬を撫でられ涙が滲む
目を閉じて早朝の風に身を任せ 思いは巡る出会ったあの日に
運命にのまれここまで辿り着き 歴史を紡ぐこれから先も
今傍に居れないことは不幸せではなく2人の未来のために
諦めたはずの写真復元しあの日の貴方と私に逢えた
沢山の過ちと長い歳月を経てなお共に歩める奇跡
何度でも挑戦するよ諦めずあなたに必ず会いに行くから
北国で寄り添い写る恋人たち 若かりし頃のあなたと私
最近は心も天気も穏やかで 秋桜眺めあなたを想う
受話器越し紆余曲折を語り合う 眩しい空に秋風が吹く
『 冬 』
裏山の竹林の音を共に聞く 翁と過ごす週末の午後
忘れたはずの痛み不意に思い出す それでも怯まず迎え撃つ朝
思い出のあの家で共に過ごす老後 貴方の夢につい涙ぐむ
思い出のあの家で共に過ごす老後 貴方の夢を2人の夢に
目が覚めて夢の余韻に目を閉じる 嬉しいような切ないような
あの人を夢に見るほど逢いたくて だけど夢では物足りなくて
あの人に夢の報告 楽しげに笑う声聞き心温まる
引き出しの奥に眠るはカメラ越しあなた見つめる中二の私
もうとっくに吹っ切れたはずだったのに 気づくと貴方の運勢見ている
街路樹の色変わりゆく様眺め あなたに逢う日指折り数える
* * *
体調を労わられふいに涙ぐむ 少しでも共に長生きしようと
切り際に体調労わる声がして スマホ抱きしめ余韻に浸る
4分で終わったこの前の通話の続きを今夜出来ますように
繰り返しめっちゃ愛しているからと言うあなたの酔い具合懐かしい
めっちゃ愛してると言われた電話の余韻に浸る月曜の朝
7年ぶりあなたに選ぶプレゼント 抑えていても心が躍る
大銀杏散る葉眺める老夫婦に 二十年後の夢を重ねる
願わくばどの方もどうか平穏で 年末年始は待機当番
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