2020年  


   『 冬 』


あの人の母校が駅伝大健闘 校名見るたびときめいている



急遽明日休み確定遠慮なく今宵正月の続き味わう



今やっと心から言えるありがとう 色褪せぬままの想い出しまう



昼間だけメニューは日替わりランチだけ 隠れ家風のお気に入りの店



あの人に夢の報告楽しげに笑う声聞き心温まる



あの人を夢に見るほど逢いたくて だけど夢では物足りなくて



沢山の見えない力に支えられ互いに紡ぐこの赤い糸



1000kmの距離を忘れる今までで1番近い心の距離感



電話切る瞬間のあなたの吐息に心乱れる雨の日の午後



この夢を追い続けるなら将来の何か足場と生きる手段を



       *       *       *



真夜中に歴史紐解く数百通 2人のメールに過去を彷徨う



懸命に生き抜いてきたこの恋に 何かがしたい 報いる何か



新型のウイルスよりも我が家ではインフルAに振り回されて



いつかまた想い出のチョコを贈る日を秘かに願うささやかな夢



この恋の生命力を信じよう 過酷な運命でも生き抜いた



我らの思いを遥かに超え長らく生き抜いてきた恋を労る



畳屋の庭先に香る垂れ梅 用もないのに一歩も動けず



共有する新しい思い出が増えて でも古いものは忘れないまま



あの日見たあの風景を忘れない 小説の中にありそうな台詞



梅の花無心に啄む鳥がおり 主にそっと告げ口をする



        *       *       *



在庫無し マスクの次は消毒液 次品薄になるのは何だ!?(わかりません(^-^;



ご褒美のチョコ一欠片放り込み 二時間半の残業終わり



次逢うまで何度思い出すのだろう あの日繋いだ手の温もりを



重すぎる思いも今では慣れっこに伝える方も言われる方も



調整に全力尽くすあなたとの電話『最最優先事項』



落ち着かない日々だからこそ声が聞け嬉しかったと囁くあなた



不意打ちの嬉しい言葉噛みしめて気の利いた言葉一つ返せず



   『 春 』


天候を気遣う主に見送られ水仙の香に包まれ帰る



春色の活気溢れる庭先でダントツ元気な菜の花の声



再生を繰り返し進化を続けた我らの恋を愛しく思う



薩摩芋好きの翁の死を悼みそれぞれが語る想い出話



離れない呪文をその指にかけるとあなたが歌った遠い昔に



追伸のメールでハート送られてつい顔が緩む推しは尊い



歯車が少しずつずれていく恋の終わりをやっと今振り返る



傷口を再び開き縫い合わせ 前へ進むため痛みを刻む



好き過ぎて破滅への道辿り行く恋の終焉死の匂いに似た



あの頃は終わりの気配に目を背け毎日必死に追い求めてた



       *       *       *



想い出は怒りも痛みも飲み込んでそれらを超える何かを生み出す



5年前綺麗事では終わらせず好きなだけ泣けばよかっただろうか



深い闇の扉を開けて息を吐く ほんの少しだけ拗ねてるだけです



赤い糸切れては結び出逢いから38度目の春はすぐそこ



Eメール 既読かどうかわからない それも良さだと互いに思う



長期戦疲れひと息そしてまた生き抜くと固く決意した朝



傍らでたまには喋らず聞き役で盃傾け君と過ごせたら



やるせない思い肴に酌み交わすこの約束は15年後に



文末に入学祝う言葉添え 恋人に送る定例メール



何かいいことあった?声が楽しそう 貴方と電話で話してるからよ



2日分まとめて茹でたタピオカの2日目の味と食感は微妙



困難なこの現実を進み行く原動力はあなたとの電話



大切な人も自分も守るためできうる限りの対策をする



緑深し我を見下ろす山の神に無事に過ごせし今日を感謝す



   『 夏 』


逢いたいという思いよりご無事でと願う思いが強くなる日々



何度もの困難を越え今がある 抱いた夢はあの頃のまま



この橋であなたに電話をかけたから私にとっては思い出の場所



白黒がはっきりせぬまま霧の中 気を確かに持て頑張れ自分!



不可思議に重なり合った偶然に救い守られ生かされている



見えること聞こえることの大切さ 改めて知る病になりて



楽しくて一風変わった上司たち 笑顔生み出す上級魔術師



当たり前が当たり前でない日常 無事に戻りし聴力に感謝



疲労感漂う声もセクシーでついドキドキしてしまったゴメン(^^;



橋を渡りカーブの先の深き緑 なぜかあなたを思い出す午後



       *       *       *



走り行く車めがけて糞攻撃 偶然なのか確信犯か



あの人の住む街はもう日没後 想い出に浸る夏至の夕暮れ



穏やかな日々過ごせているはずなのに あの曲はまだ聴けそうにない



週一の電話予定確認メール ときめきが続く丁度良い距離



予想外のタイミングで届くメール 今なら空も飛べる気がする♪



共に過ごす老後に思い馳せる時 それだけで幸せな気分になる



手放したはずの恋にまた触れている 縁結びし季節は巡る



ときめきを捨てきれぬまま時は過ぎ 恋心だけ少女のままで



言わずともバースデーメールくれるのを知りつつ欲しいと初めて告げる



一週間ぶりに聴く声好き過ぎて 恋する少女の魔法にかかる



       *       *       *



あの人の左鎖骨の感触の余韻に浸る美しい朝



雨なのでお願い1つ控えめに来年もまた逢えますように



誕生日は不思議な縁の節目の日 この先もこの恋は戦友



2人とも1番結婚したかったのは30年余り前のこと



あの人のメールの言葉嬉しくて 一首送信勢いも大事



雲ひとつないこの空で繋がった1000km先にあの人がいる



続かずに三日坊主で終わるかも でもまず始める散歩と筋トレ



少しずつずれてゆく月 どのくらい後にあなたと眺められるだろう



気がつけば暑さもさほど苦にならず 最近酢漬けトマトの虜



雨女の異名に負けじと雨乞いし恵みの雨に深く感謝す



       *       *       *



里芋の葉を見てフキと勘違い 畑作業の見習いレベ1



昨日の畑作業の報酬は採れたて中玉トマトが1つ



「水分は足りているけど暑すぎる(><)」 庭に漂うゴーヤのため息



少しずつ畑作業も慣れてきて たまには野菜の声が聞こえる



この夏の思い出ぎゅっと詰め込んだ今年最後のゴーヤのサラダ



週一の電話に支えられており 多分あなたも同じことを言う



5コール目 受話器を取った瞬間の息吸う音に瞳を閉じる



最近は電話をかける前日の朝から気分が華やいでいる



パパが好きママが好きだとハグされる 今のうちだけと互いに笑う



一瞬で疲労困憊粉砕す あなたからきた予定外メール



1000kmの距離繋いでるEmail 1000通重ねた愛しい時間



夕暮れに祈ることだけしかできず まだ逝かないでもう少しだけ



   『 秋 冬 』


最終日 向かい風少し涼しくて嬉しいような寂しいような



無い知恵であらゆる被害を想定し迎え撃つための準備完了!



リアタイであなたのメール読めた日は もうそれだけで心満たされる



いつかまた共に杯交わす日を夢見て今日も1人頑張る



どこまでも続く坂道ゆるゆると あなたと共に歩く夢を見る



青天の空に向かって問いかける あの人は今どうしてますか?



あの人の瞳に映る懐かしい風景 心に浮かべて眠る



もう一度時間を戻してあの頃へ あのままあなたと生きていけたなら



何でもないお疲れさまの文面にほんわか滲む優しさが嬉しい



親の死を私は多分悼めない それでもいいと自分を赦す



       *       *       *



「お願いです これが最後の通話にはなりませんように」 2人で祈った



あの人の無事を知らされ安堵する 世界はこんなに輝いている



14の冬 結婚を熱望し 多分あなたも同じと思う



高湿度 頭重感で疲労感 外では雨がモリモリと降る



経験が大切な人の役に立つ 看護師冥利に尽きる瞬間



亡き人に再び祈るもう一度ご子息が孫に会えますように



もう一度孫と遊ぶ夢叶わずに 父君の訃報聞き立ち尽くす



最愛の孫と再会叶わずに逝く魂の平安祈る



こんな時傍に居れずにもどかしく お悔やみを述べることしかできず



旅立ちに私が好きなネクタイを父君に結ぶ彼の忖度



       *       *       *



旅立ちが安らかでありますように 虫の音響く月あかりの夜



看護師としてどのくらいご家族に寄り添うことができたのだろう



そよ風に金木犀の香る午後 揺れるゴーヤに我が身重ねる



いつかまた共に過ごせるその日まで 互いに生きる互いのために



骨になる前に共に過ごす日々を 新たに誓う悲しみ越えて



いつもより多く言葉を交わせた日 空が青くて少し眩しい



恋人と共に休みで長電話 名残惜しくてなかなか切れず



心からハグされたことは真実で たとえ記憶に残らなくても



今日凄く勇気もらった 握る手に込められた力忘れはしまい



こつこつと葉や茎に付く虫を食べ 大蟷螂は守り神かな



       *       *       *



ごはん屋はコロナ禍ゆえの閉店か 看板無いと今日気が付いた



行きつけの飲食店が次々と閉まる寂しさ表現できず



給料日景気よく買うケーキ屋で貰う切れ端美味なチョコ味



みかん狩り 初物頂き名乗られて (井上さんって誰だったっけ?)



皮算用 夢も野望も膨らんで 仲間5人で買う宝くじ



互いの子 寝相の悪さ笑い合う 父親の顔のあの人も好き



他愛もない話で1人舞い上がり 転ばないでと苦笑する君



真夜中に目が覚める程の後悔を消し去ることができるのならば



静寂に包まれ祈る日常を取り戻す日が訪れること



青空にふわりと浮かぶ昼の月 またいつか君と眺められたら



       *       *       *



あの人と昼間話した余韻かな 2人でお茶を淹れる夢見た



旅先で超久しぶりの二日酔い 喉元過ぎて二日目の酒



鼻水とクシャミ止まらず明後日の休みは掃除! と心に誓う



共に生き50年後に見る景色夢見て進む 100までの道



抱く夢 100まで生きる目標のあなたと共に あと半世紀





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